パラドックス定数 第23項 蛇と天秤

「生命を、弄ぶ。」

医学の神、アスクレピオスの持つ杖には、

一匹の蛇が絡みついている。

ある日、蛇は主の杖から這いだして、

薬品調剤を司る天秤にこう言った。

「人間の命の限界を超えてみないか」

天秤は頷いた。

何と素晴らしい提案だろう。

人間の命の限界を超える。

蛇も天秤も本気だった。

しかし蛇は神ではなかった。

そして天秤も神ではなかった。

彼等はその事に気付かなかった。

医学と薬学。

命と交差する学問の前で、

欲と虚栄と自尊に溺れる彼等の姿は、

まるで人間の様だった。

日時2010年11月9日(火)~11月15日(月)
会場恵比寿 ギャラリーsite
出演植村宏司 西原誠吾 井内勇希
加藤敦 生津徹 小野ゆたか
特設サイトhttp://www.pdx-c.com/tokusetu/23/23.html